令和3年の4月24日(土)と25日(日)の2日間、
十社大神において、炎勝儀(えんかつぎ)という神事を執り行いました。
コロナ禍が長引く中、炎を用いた奉納行事を行うことで、参列者のご健康・ご多幸を祈るという趣旨です。
NPO法人を運営されている宮袋季美さんが企画され、
パフォーマーのハルキさんがファイアーパフォーマンスを奉納、
キャンドルアーティストの中澤さんが優しい明りを灯して境内を幻想的に演出されました。
24日(土)には、十社大神の宮司が祝詞を奏上し、御神火をハルキさんに渡し、その火を用いて奉納のパフォーマンスをしていただきました。
日本書紀には、次のような記述があります。(現代語訳)
『素戔嗚尊(スサノオノミコト)の行動は乱暴で手が付けられなかった。
<中略>
天照大神(アマテラスオオミカミ)はご立腹になり、
天石窟に入って磐戸を閉じて籠ってしまわれた。
そのため、国中が常闇になり、昼夜の区別もつかなくなった。
神たちは祈るべき方法を協議した。
<中略>
枝に八咫鏡(やたのかがみ)をかけ、祈祷した。
天細女命(アメノウズメ)が天石窟の前に立って俳優をつとめた。<中略>
火を焚き、桶を伏せておいて神がかりをした。すると、天照大神は御手で磐戸を開けて外の様子をうかがわれた』
有名な天石窟(あめのいわと)の神話です。
天照大神様がお怒りになってお隠れになると、世の中が暗闇に包まれ、良くないことが次々起こったので、
神々が天石窟の前で祈り、鏡をかけて、火を焚いて芸事をしたところ、天照大神様が出てこられ、日常が戻て来たという流れです。
神社で行う祭典の次第は、今でもこの流れに則っています。
本殿の御扉を開けてお供え物を出し、祝詞を読み上げ、奉納行事を行なって神様の御心を慰め、楽しんでいただく。
現代でも大切にしている神事の次第には、意味があるのです。
今回の炎勝儀は、
暗闇の中で火を焚き、芸事を奉納して祈りを捧げるという点で、古典に立脚しており、伝統と現代アートの融合と言えるのではないでしょうか。
消火器や水の入ったバケツを用意するなど、安全対策を実施したほか、
2日目は、やや風があったので、かがり火を開式前に消すなどの措置を取りました。
また、参列者の方には屋外で距離をとってご覧いただき、開式前には受付で検温を実施するなど、感染症対策も実施しました。
関わっていただいた全ての方に感謝申し上げます。