十社大神には、還暦記念で奉納していただいた石灯籠が28基ありました。
しかし、令和6年1月1日の能登半島地震によって、このうち20基あまりが倒壊。倒壊を免れたものも、その多くにズレやひび割れ、傾き、決損が見られました。
初詣の期間中は、そうした石灯籠の周囲には危険性を知らせる紙を掲示して近づかないよう依頼し、役員の皆様と対応を協議してきました。
協議の結果、
今後も安全性を確保することは難しいと判断し、倒壊しなかった石灯籠も含めて、還暦記念で奉納された石灯籠は、28基すべてを撤去することと致しました。
奉納者の方々のお名前が記された灯篭だけに、寂しい気持ちや悔しい気持ちもあり、奉納者の方々には申し訳ない気持ちもありますが、今後の持続可能な神社運営のためと、ご理解を賜りたく存じます。
その後、石灯籠が建っていた跡には、約70センチ四方の基礎だけが残っていました。
この基礎をどうするかー、
様々な検討を重ねた結果、ここを花壇にして季節の花々を植えるのが良いのではという考えに至りました。
残された石灯籠の一部が、新たな意味と役割を持ちますように。
石灯籠を奉納された方々の思いが受け継がれますように。
令和6年正月の地震で甚大な被害が出た記憶と教訓を次世代に残せますように。
より一層、神様に境内の景観を楽しんでいただき、参拝者の皆さんにも親しんでいただけますようにー。
様々な思いをこめて、ことし3月、基礎と同じ大きさの木製プランターを8つ購入し、基礎の上に設置しました。
4月に入り、
地元の種苗店にお願いし、木製プランターに花々を植えていただきました。
プランターの底には、水対策のネットも設置していただき、土と肥料を入れ、季節の花々を植栽していただきました。
8つのプランターで、それぞれ色を変えてあるので、境内を歩いて回る楽しみが増えました。
また、
70センチ四方のプランターの中央部分に勿忘草やチューリップなどの背丈の伸びる花を植えたため、花の成長とともに見え方も変わってくるように工夫してあるそうです。
地震から3か月。
爪痕の痛々しい状態が続いていましたが、
石灯籠跡の基礎が花壇の基礎に生まれ変わったことで、境内の景観がずいぶんと変わったように思います。
もともとの石灯籠は、神様に「灯り」を献納するという趣旨のものでありました。
この花も、神様に「華やかさ」を献納するものであり、神様に喜んでいただけましたら、本来の意義にかなったものではないでしょうか。
皆さまも、どうぞご参拝の際に、あるいは近くにお立ち寄りの際に、ご覧くださいませ。
なお、石灯籠の奉納に参加された歴代の方々のお名前は、灯篭配置図とともに帳面にして保管し、次世代に残すこととしております。